「終身保険は貯蓄代わりになる」と勧められたことはありませんか?確かに仕組みの上では、条件次第で貯蓄的な使い方ができる面もあります。ただし、それが「今の自分にとって合理的かどうか」は別の話です。
この記事では、終身保険を貯蓄代わりに使うことのメリット・デメリットを整理しながら、50代が今の保険を見直す視点で解説します。
📋この記事でわかること

終身保険は貯蓄代わりになるって聞いたけど、本当にお得なの?

昔の常識と今の常識は変わっています。時代背景から整理すると、今の自分に合った判断ができますよ。
昔は「保険で貯蓄」が当たり前だった
50代の方が若い頃、親や周囲から「保険に入っておけば老後も安心」と言われた記憶はないでしょうか。バブル期前後の日本では、終身保険や養老保険を老後の貯蓄として活用するのは一般的な選択でした。それには、当時の経済状況を考えると合理的な理由がありました。
1980〜90年代初頭の保険の予定利率は5〜6%台という非常に高い水準でした。
これは、銀行の定期預金も高金利だった時代と重なります。この頃の貯蓄型保険に入っていれば、保険料を払い続けるだけで確実にお金が増えていく仕組みが成立していたのです。
これが俗にいう「お宝保険」の正体です。
また当時は、個人が株式や投資信託で資産運用するハードルが今よりずっと高い時代でした。
証券会社の窓口に行かなければ投資できない、情報も少ない、NISAのような非課税制度もない。
そういった環境の中で、「自分では投資できないから、保険会社に運用を任せる」という選択はあながち間違いではありませんでした。
時代は変わった。今の予定利率は別物
バブル崩壊後、日本は長期の低金利時代に入りました。それに伴い、保険の予定利率も大きく低下しています。現在の終身保険の予定利率は0.3〜1%程度が主流で、バブル期の6分の1以下です。
予定利率が下がるということは、同じ保険料を払っても、将来受け取れる解約返戻金や保険金が相対的に少なくなるということです。かつて「保険に入れば老後のお金が増える」という感覚で加入していた人にとって、今の終身保険は同じものではありません。
さらに2024年からは新NISAが始まり、個人が手軽に非課税で長期投資できる環境が整いました。スマホひとつで積み立て投資ができる時代に、わざわざ手数料を払って保険会社に運用を任せる必要性があるか、改めて考えてみる価値があります。
保険会社も「投資」で運用している
あまり知られていませんが、保険会社は契約者から集めた保険料を株式・債券などに投資して運用しています。その運用益の一部が解約返戻金や保険金の原資になっています。つまり、保険会社を通じた貯蓄とは、「保険会社に手数料を払って、代わりに投資・運用してもらっている」ということでもあります。
自分でNISAや投資信託を活用して運用できるなら、保険会社に支払う手数料分の資産が増えると考えることができます。
保険の仕組みは「運用のプロに任せる代わりにコストを払う」という構造であることを、知っておくことが大切です。
保険・投資・預金それぞれの役割の違いはこちら:
→ 【保険と投資・預金の違い】それぞれの役割を整理しよう
終身保険を貯蓄代わりに使える条件
終身保険は一生涯の死亡保障がある保険ですが、払込期間が終わった後に解約すると、解約返戻金が払込総額を上回る(返戻率100%超)ケースがあります。この性質を「貯蓄代わり」として活用するという考え方です。ただしこれが成立するのは、主に以下の条件が揃ったときです。
- 払込期間をしっかり満了できる(途中解約しない)
- 予定利率がある程度高い(バブル期加入のお宝保険など)
- 長期間にわたって保険料を払い続けられる家計的余裕がある
現在の終身保険は予定利率が低いため、貯蓄効果は限定的です。今から新たに終身保険に入って貯蓄代わりにしようと考えている場合は、よく計算して検討することをおすすめします。
向いている人・向いていない人
終身保険の貯蓄活用が向いている人
自分では貯蓄が続かない、強制的に積み立てる仕組みが必要という方には、終身保険の「払わないと損」という性質が、貯蓄習慣のサポートになることがあります。
意志の力に頼らず、半強制的にお金を積み立てたい人にとっては一定の意味があります。
また、この記事では詳しい説明を省きますが、相続税対策として死亡保険金の非課税枠(法定相続人の数×500万円)を活用したい場合にも、終身保険が有効な場面があります。
終身保険の貯蓄活用が向いていない人
自分でNISAや積み立て投資ができる人には、終身保険を貯蓄目的で使うメリットは薄くなります。
同じお金を自分で長期運用した方が効率的なことがほとんどですので「保険でお金を増やそう」ではなく、「保険は保障のため、貯蓄・運用は別の手段で」と役割を分けることで、無駄な保険料も減り、家計もシンプルになります。
見落としがちな3つの落とし穴
① 途中解約すると元本割れ
払込期間の途中で解約すると、解約返戻金が払込総額を下回る「元本割れ」が起こります。
特に加入してから年数が浅いうちは、解約返戻金がほぼゼロに近いケース(要するに掛け捨て保険と同じ状態)もあります。
たとえば、10年払いの終身保険を5年で解約した場合、それまで払い込んだ保険料の合計より受け取れる金額が少なくなることがほとんどです。「払った分が戻ってこない」という損失は、月の保険料が高いほど、払込期間が長いほど大きくなります。
「もったいないからやめられない」という気持ちはわかりますが、合わない保険を払い続けることで損失が積み上がる場合もあります。
解約返戻金の現在額と今後の払込総額を比較した上で、続けるべきかどうかを冷静に判断しましょう。
② インフレに弱い
20〜30年後に受け取る保険金の額は、契約時にすでに決まっています。その間にインフレが進むと、受け取れる金額は同じでも、実質的な価値(買えるものの量)は下がっている可能性があります。
日本はバブル崩壊後、長年にわたってデフレや低インフレが続いてきました。「物価が上がらない時代」に慣れてしまい、インフレリスクを意識しにくくなっていたのは確かです。
しかし近年は食料品・光熱費・日用品など身近なものの値上がりが続き、消費者物価の上昇率が2〜3%台で推移する場面も出てきています。
ここで重要なのが、予定利率とインフレ率の関係です。
現在の終身保険の予定利率は0.3〜1%程度ですが、インフレ率が2〜3%で推移した場合、差し引きの実質リターンはマイナスになります。
つまり、名目上は保険料より多くのお金が戻ってくるように見えても、物価の上昇に追いつけず、実質的な資産価値はむしろ目減りするという状況が起こり得ます。
長期にわたる保険は、インフレリスクを必ず考慮に入れる必要があります。
③ お金が動かしにくい(流動性が低い)
銀行預金と違い、保険は急に引き出すことができません。
解約すれば元本割れ、払済保険(以降の保険料支払いをやめて保障額を減額した状態で継続)に変更すれば保障が下がるなど、柔軟に使えないのが貯蓄型保険の弱点です。
50代はお子さんの進学費用や親の介護など、まとまったお金が急に必要になる場面が増える時期でもあります。
ある程度の流動性の高い資産(普通預金や定期預金など)がしっかりある場合はいいですが、いざというときに解約しないといけない可能性がある場合は、よく考えておく必要があります。
結論:保障と貯蓄は分けて考えるのがシンプル
終身保険を貯蓄代わりに使うことが「絶対にダメ」ということではありません。バブル期に加入したお宝保険を持っている方は、高い予定利率の恩恵を活かしながら賢く使うことができます。
ただし、今の低金利・NISA時代において、死亡保障は掛け捨て保険でカバーし、貯蓄・運用は別で行う方が、多くの人にとってシンプルで合理的です。
今加入中の終身保険がある方は、予定利率・返戻率・残り払込期間を確認した上で、続けるべきかどうかを改めて判断することをおすすめします。
解約を考える前に確認すべきことはこちら:
→ 【保険を解約する前に確認すること】後悔しないチェックリスト
判断が難しいときは無料相談を活用する

今の終身保険を続けるべきか解約すべきか、数字を見てもよくわからない…

保険証券を持って無料相談に行けば、続けるべきか見直すべきかを数字で一緒に確認してもらえます。押し売りなしで相談できる窓口を活用してみてください。
→ 【50代向け】保険の無料相談はこちら|複数社を比較して選べます
加入している保険会社に相談に行くと、保険の下取りやら払い済みにして新しい保険を勧められたりすることが多く、せっかくのお宝保険を解約に導こうとすることがあります💦
私たちにとってのお宝保険は、保険会社にとってのお荷物保険です。
保険の相談は、中立の立場で相談に乗ってくれるところがおススメです。
【まとめ】
・昔は予定利率が高く「保険=貯蓄」の選択は合理的だったが、今は時代が変わった
・現在の予定利率は0.3〜1%程度。NISAなど個人で運用できる手段が整った今、保険で運用する必然性は薄い
・保険会社も投資で運用している=保険を通じた貯蓄は手数料を払って運用を任せることと同じ
・自分でNISAや積み立てができる人には、終身保険を貯蓄目的で使うメリットは薄い
・落とし穴は「途中解約で元本割れ」「インフレに弱い」「流動性が低い」の3つ
・保障は掛け捨て保険、貯蓄は別で行うのがシンプルで合理的
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